拒絶、出来ない
耳を塞いでも防ぎきれない
確実に近付いてくる足音
幾度振り返れども誰も居ない

虚空を引き裂いて
闇を掻き分けて
終わりのない逃走劇
今日がいつなのか
私が誰なのか
記憶の欠片を落としながら
ひたすら走る

疲れなど感じていない
力が湧いてくる気がする
しかしどのくらい走り続けたのだろうか
ふと、立ち止まる

ひとつとても気になることがある
私は何者であったのか、と

終わらない逃走
終わりのない悲劇
リタイアの赦されない絶望のレールの上で
私は私であることを次第に忘れゆく

まるで目に見えぬ何かに支配される操り人形であるかの如く。

2008.07.15 


名前があったなら
探してくれるだろうか
誰よりも輝いていたなら
見付けてくれるだろうか

遠い漆黒の闇からいつも見ている

いつか君が億千ものなかから見付け出してくれたなら
僕は君に逢いに行けるかな

嗚呼、こんなにも胸を焦がしているのに

届かぬ手

淡い想いを乗せて

2008.07.14 


忘れていたもの
秘密の場所に置いてきたもの
怖くなって棄てた
私は強くなりたかったから
渇いた心
その方が楽だと思っていた

潤いを忘れた土地が荒野と化していく
草木は種子のまま大地に晒される
全ての生きとし生ける者を拒絶する

再び潤うことが出来るのなら
私は幸せになれるだろうか
傷物になるまえに
全てを拒絶して
それが幸せだと思っていたのに

涙が止まらないのはどうして?
側に誰も居ないのは何故?

荒れ果てた荒野
その心で
私は何を欲する

泣いて 泣いて
この涙で救われるのなら
いくらでもくれてやる

この涙が 荒れ果てた荒野を潤す雨であったらいいのに

2008.07.13 


気付いてからでは遅い
気付く前に
寂しい夜を過ごす前に
さよならをしないと

こんなにも苦しむのは
今夜が最期であってほしい

明日から目を背け
昨日をじっといつまでも見つめ

それでもレールの上を走っているのは
紛れもなく

なんだ

2008.07.08 


存在事実。
思い出にしないで
存在証明。
形にしないで

物語るは過去
そのとき僕は僕を嫌いになる
生きることを抵抗するのは
過去を創ってしまうから

手足が重い
身体が熱い
千切られた背中の羽が物語るは『過去』

生きる者全てに影があり
一生纏われるように
過去もまた
生きる者全ての何処かに
潜んでいることだろう

そして疎ましかったはずが
気付けば愛していた
クロノスによって
時に洗い流される

愛された『過去』は生まれ変わり
『記憶』として生きる者全ての心に
少しずつながら破片を遺して。

2008.07.01